その2日後は、
コロナ前ならわたしがジムに通う日だった。

コロナで休業を余儀なくされた彼のジムは
数日前から営業を再開して
その日は彼の最初の出番だった。

わたしはその日を平静に過ごす自信がなくて
娘と一緒にカラオケに出掛けた。

別れを決意して数日、
食欲が全く湧かなかった。

わたしの落ち込みを知ってか知らずか
娘は普段と変わらずに、
お気に入りの歌を歌う。

わたしは明日からこの辛い気持ちを
超えることができるんだろうかと
そんなことばかり考えた。

今、ジムに行けば彼に会える。
そう思うと気持ちがぐらついた。

カラオケの後はご飯でも食べに行こうかと
わたしたちは個室のしゃぶしゃぶ店に向かった。
この時間は 娘は大抵
夫の家に誘われてご飯を食べに行くので
コロナで彼のジムが休業になるまでは
わたしはその時間を利用して
彼のジムに行っていた。

ジムの営業時間が終わる少し前に
LINEが鳴って、
見たら彼からだった。

熊のブラウンが、
寂しそうに震えているスタンプだった。
目に入った途端
わたしの心臓は大きく波打った。

コウくん。

会いたい。
今すぐ会いたい。

嬉しい辛い苦しい泣きたい。

わたしは彼が好き。

彼もそれなりにわたしを好きだと思う。

でも、それならどうしていつも
わたしはこんなに寂しいの。

すぐにでも返信したい気持ちもあった。

だけど、
わたしが先週感じた絶望に比べたら。
そんな意地悪な気持ちもある。

わたしは返信したい気持ちを抑えて
スマホを仕舞った。